審査委員総評

審査会の様子

飯島直樹  審査委員長 東京工芸大学 芸術学部 空間デザイン論 非常勤講師

アワードはさまざまな社会情勢を反映します。今回、応募総数が減ったことについては残念ですが、設計事務所からの応募が前回の1.5倍に増加したことなど全体的には発展的に受け止めています。テーマであった「つなぐ」は、ストレートに空間デザインを評するものでないので応募者側も若干戸惑いがあったかもしれませんが、家具と空間の関係を改めて意識する機会になったのではないかと思います。また、空間の用途としては、介護施設や教育施設など今後も増加していきます。特に大学などは学生数の減少問題を抱える中、家具メーカーが新しい提案をしやすい土壌もあり、今後に期待できる分野です。

飯島直樹氏

小泉誠  審査委員 武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科教授

このようなアワードは、全ての作品に対して必ずしも本質的な視点を捉えたものとして選考できない難しさも感じます。その中でも、いくつかの作品は、人の関係をつくっていく優れた事例があり、良い印象を受けました。

小泉誠氏

平田晃久  審査委員 建築家 京都大学准教授

家具を軸にした空間デザインのアワードの審査を通じて、建築とは異なるスケール表現に接することが自身にも刺激になっています。特に1位のGOODLIFE office. Shibuya は、空間と家具のスケールが近づいているような感じを受ける興味深い作品でした。

平田晃久氏

東利恵  特別審査員 建築家

今回初めて、家具だけでもなく空間だけでもないアワードの審査をするにあたり、どのように判断をしていったらいいのか迷いましたが、あえて素人目線で、自分がそこに行きたいか、そこに居て楽しいかということを基準に評価しました。普段とは異なる目線でインテリアと家具を見ることが出来、改めて家具の置き方ひとつで、空間の表情が大きく変わることに面白さを感じました。

東利恵氏

大嶋秀紀  審査委員 パブリック(株) 代表取締役社長

パブリックは、元々飲食店舗向けを主体に製品開発を行ってきた会社ですが、前回は上位に食空間部門がありませんでした。その点では、今回、グランプリ及び3位に飲食店舗が選考されたのは嬉しく思います。また、最近では知的財産権やコンプライアンスの関係により応募できない案件も増えていますが、作品全体の質は毎回高まっているように感じます。主催者側としても、将来の医療福祉施設や、2020年の東京オリンピックに向けた様々な施設など、これからの新しいインテリア空間に関わっていけるよう取り組んでいきます。

大嶋秀紀氏
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