審査委員総評

審査委員総評

飯島直樹
審査委員長 インテリアデザイナー
コロナ禍で順延した審査だったが、内部空間に何事か踏み込んだデザインが応募されており、それらが上位に入賞となった。上位の中で
審査は拮抗した。黒革鉄板のミニマルな予備校ラウンジ「松尾学院 東進衛星予備校 高速長田校」も、大きな格子で覆われる渋谷の居酒屋
「ぬる燗佐藤ヒカリエ」も評価されたが、異形鉄筋の格子をWスキンで使い、水色の内装とレイヤーさせることで曖昧で白日夢的な流動
空間を“うながした”、「ReBar」が推奨されグランプリとなった。
平田晃久
審査委員 建築家
コロナ禍にもかかわらず、クオリティの高い作品が沢山寄せられた。個人的には、特に二つの作品に惹かれた。かなり傾向の違う作品な
がら、光と透明感を独特の仕方で漂わせているところは共通していた。「ReBar」は、強い色を持ったエレメントと半透明な空間が重な
って、光の色が滲むような、透明な広がりを感じさせる風景をつくっていた。「松尾学院 東進衛星予備校 高速長田校」は、黒皮鉄の濃
淡と照明の濃淡が重なり合った、透明感のある不透明さが美しい。新鮮さ、というものが持つ驚きは、こんな時代にも変わらず僕たちを
鼓舞する。
東利恵
審査委員 建築家
コロナ禍が当初の予想よりも長く社会や個人の生活に影響を与えている。オンラインでの会議や授業などへの抵抗感がなくなり仕事の方
法も変わってきている。グランプリがオフィス空間になり、オフィス分野の応募作を見ていてもデザインの意識や変化が感じられる分野
になってきた。住まいや街中、旅先で仕事をする経験によって、空間の効率性よりも快適性という意識の変化がオフィスデザインにどう
展開していくのか楽しみである。
大嶋秀紀
審査委員 パブリック(株)代表取締役社長
この約3年間の社会情勢の変化に伴い、人々の外出や集いの機会が減り、商業施設空間や文化・公共コミュニケーション空間の需要は減少
した。コロナ禍で飲食関係が厳しい環境にあった中で、良い作品が多く集まった。様々な空間への弊社製品の使われ方を更に研究を重ね、
新製品の開発や販促活動に繋げていく。また今後もデザインアワードの開催を継続し、この先さらに変わり続ける「人が集まる空間の在
り方」について真正面から向き合っていきたい。