第７回パブリックスペースデザインコンテスト入賞作品発表

家具・人・空間の調和のとれたスペースデザインを募る「スペースデザインコンテスト」も今回で第７回となり、応募数も５３２件と過去最多となりました。「家具と人が語り合う空間。」をテーマに、多数の意欲的な作品の中から厳正な審査が行われ、受賞作品が決定いたしました。ご応募いただいた皆様には、心より感謝申し上げます。

審査員

飯島　直樹 ／ (社)日本商環境設計家協会理事長
家具を空間の部品として捉え、空間そのものの姿・かたちだけでなく家具という違う要素を採り入れた良さが際立つ作品が選考のポイントとなりました。既製の家具を使いながら空間全体をデザインしていくことの可能性を改めて見直す機会となりました。

小泉　誠 ／武蔵野美術大学空間演出デザイン学科教授
受賞作品は、周りの環境に上手く調和させながら、関係性に優れた空間を選考しました。空間と家具の関係をどのように考え、人との関係をどのように考えるのか。もっと、それが見えてくるような作品が増えてくることを今後に期待します。

村上　太佳子 ／成安造形大学教授・名古屋芸術大学名誉教授
空間をデザインする上で、すでにある空間に既製の家具を選ぶということがある意味では一番難しいと感じています。毎回審査をさせて頂いていますが、徐々にその質が高まっており、特に今回は、空間の分かる人が家具を選んでいる作品が多くなったと思います。

グランプリ
　　
沖縄ダイニング道筆／小森谷　賢二／ (株)ヴィンチ
沖縄らしさを採り入れた琉球石灰岩のファザードや内部の壁面には琉球ガラスの皿を使用したディスプレイなど全てにモチーフがあり、まわりの環境を空間に上手く取り込んだデザイン。家具は、その空間の持ち味を活かし、調和のとれたセレクトがされ、手堅く、しっかりとした空間デザインに仕上がっています。

飲食部門
１位

ゾディアック／清水　勝／宇宙計画(株)
天井のダウンライトの光をテーブル面で反射させ天井にグラフィックを投影させている。受照面であるテーブルは、クリアミラーとグラフィック処理をした不透明シートで構成されており、光束発散度の差異を利用した照明デザインがなされている。光を緻密に制御し、完成度の高い空間が家具を軸にデザインされています。

2位

リストランテG ／竹山　聖／ (株)設計組織アモルフ
空間の骨格が構成的にデザインされた中で、あえてイスらしいイスがセレクトされている。イスとしての存在意義を的確に捉えた居心地のよい空間に仕上げられています。

3位

HARBOR' CAFE ／坂内　昇次／ (株)フォーウイングス
空間構造と家具の素材感との相性が優れた作品。イスのシートと天板の木部が床のフローリングに対し浮遊しているかのごとく配され、脚部の金属の物質感が見事に空間と調和している。与えられたランドスケープが上手く活かされた作品です。

特別賞

桃の花龍国飲茶房／鷲見　明／シンコー(株)岐阜営業所
イスの背に取り付けた房と、ガラス面の赤い文字が空間を印象付けています。ちょっとしたアイデアが上手く活かされた柔軟なデザインです。

施設部門
1位

(株)戸田久姫神工場／今村　正／コクヨ東北販売(株)
シンプルな箱状の空間に、２色の木質シートのスチールチェアと白いテーブルが、バランスよく配置されています。窓の外の緑も空間を構成する色として上手く取り込まれ、環境を活かしながらイスとテーブルのセレクトで、居心地のいい空間が構成された作品です。

2位

新菱冷熱工業(株) ／「耕風寮」／岩永　文英／ (株)日建設計
素っ気無くなりがちな寮の廊下を「色」により識別し、コミュニケーションスペースと一体化することで人と人との関係が表現されています。シンプルなデザインの家具は、張地のセレクトによりサインデザインの一部として空間の中での役割を担っています。